メニュー

使用用語の解説

*一部「新しい結核用語事典」より抜粋しています

 

概数

統計を確定する前に仮の値として公表された数字です。(例)死亡数はまず概数が公表され、その後確定数が公表されます。

喀痰塗抹陽性肺結核患者罹患率

肺結核患者のうち、患者の喀痰による塗抹検査により抗酸菌が確認された患者数を人口10万人あたりの率で表したもの。

確定数

公開される統計で、概数に修正を加えたものでこれ以降に数が変わることはないものです。(例:総務省統計局のホームページより)毎月1日現在の推計人口は、当月の下旬にまず概算値として公表し、確定値はその5か月後に公表しています。なお、10月1日現在の推計人口の詳細な結果は、翌年の4月に公表しています。

仮登録者

結核登録者情報システムで用いている登録者の区分です。登録に必要な情報がなくても登録が可能です。ただし、正式な登録ではないため、月報や年報のような統計には反映されません。

患者分類コード(総合患者分類コード)

結核の活動性分類を、結核登録者情報システムで用いる登録者分類コードに置き換えたものです。結核登録者情報システムに入力された登録者の情報(治療歴、病類、菌情報等)を基に自動的に分類コード化されます。「結核の統計」は、総合患者分類コードを基に集計されます。登録時の総合患者分類コードは、 1~5,8 の6種類ですが、それ以降、登録途中の総合患者分類コードは1~9 の9種類を使用します。
1. 肺結核活動性喀痰塗抹陽性初回治療
2. 肺結核活動性喀痰塗抹陽性再治療
3. 肺結核活動性その他の結核菌陽性
4. 肺結核活動性菌陰性・その他
5. 肺外結核活動性
6. 不活動性
7. 活動性不明
8. 潜在性結核感染症(治療中)
9. 潜在性結核感染症(観察中)

基準化偏差

値の大きさも違えば単位も異なる幾つかの結核指標値を比較できるようにしたものです。例えば、罹患率は人口10万対率ですが、肺結核中菌陽性率は割合(%)です。また平均的な大きさも罹患率が20前後なのに対し、肺結核中菌陽性率は80(%)前後です。よってA県の罹患率が25で肺結核中菌陽性率 80(%)であったとしても差は同じというわけにはいきません。基準化偏差は、平均を0、ばらつきを示す標準偏差を1とする分布のうえに、A県の罹患率や肺結核中菌陽性率の位置付け(基準化)をします。その結果、罹患率の基準化偏差が1.2、肺結核菌陽性率の基準化偏差が0.8となった場合には、罹患率の方が平均より高い方へ離れている、といえます。

菌陽性肺結核患者罹患率

肺結核患者のうち、塗抹検査、培養検査、核酸増幅法検査等により菌陽性が確認された患者数を人口10万人あたりの率で表したもの。

結核指標値

結核の蔓延の大きさや結核疫学状況を観察し、対策の評価等をするために考案された統計値の総称です。例えば、結核の蔓延の大きさをみるために使われる結核罹患率などの事です。

結核管理図

わが国の結核の現状を把握するため、結核登録者情報調査より得られたデータをもとに結核指標値を算出し、その指標値の大きさを平均からの比較(基準化偏差)で図示したものです。その目的は、全国ならびに地方自治体及び保健所の結核問題やその特徴を結核管理図の形で示し資料として提供することにあります。

結核対策活動評価図

結核管理図の姉妹版として研究的に作られている図表です。結核管理図は当該年1年だけの統計ですが、結核対策活動評価図は経年変化が見られるようにグラフ等が工夫されています。(2017年版で終了いたしました)

結核サーベイランスシステム

サーベイランスシステムは流行を監視するシステムです。サーベイランスには、①常時(定期的)情報を収集し、②定期的に集計・解析し、③定期的に解析結果を還元するという意味がありますが、結核の場合は、それに④還元された結果を次のアクション(対策)に繋げる、が含まれています。公的なシステムとしては、感染症法のもとに運用されている「結核登録者情報システム」を指します。

結核死亡率

当該年に結核で死亡した数を人口10万対で表します。分子は人口動態統計年報より死因簡単分類の「結核」の数を用い、分母は当該年の10月1日現在の日本人人口を用います。

結核登録者情報システム

感染症サーベイランスシステム(NESID:National Epidemiological Surveillance of Infectious Diseases)の下にある6つのシステムの一つです。6つのシステムの中に「感染症発生動向調査システム」と「結核登録者情報システム」がありますが、前者は、感染症である結核の発生に重きを置いているのに対し、後者は、結核患者を登録し患者の経過を追っていくことに重きを置いています。なお、「結核の統計」は「結核登録者情報システム」から集計される年報をもとに作られます。

月報(結核登録者情報調査月報)

結核登録者情報システムの情報を元に、月単位で集計される報告書です。

コホート分析法(コホート法)

コホートとは、一年間あるいは四半期など時期を定めてこの間に治療を開始した患者の集団を指します。このコホート集団を一定期間追跡し、治療終了時点での成績を見るのがコホート分析法です。世界的に治療サービスの評価に広く用いられており、WHOでは①治癒、②治療完了、③死亡、④失敗、⑤脱落、⑥転出、 ⑦評価できず、に分類しています。①+②を「治療成功」とよびWHOは85%達成を目標にしています。2007年からの結核登録者情報システムでは、前年登録の肺結核患者を対象に、入力された情報から自動判定し、15のコードに分類しています。「結核の統計」では15区分をまとめ、①治癒、②治療完了、③ 死亡、④失敗、⑤脱落、⑥転出、⑦12か月を超える治療、⑧判定不能、の8区分で計上します。

再掲

一般にすでに表示した統計の中から一部を取り出して、もう一度掲載することを再掲といいます。(例)東京都全体(含東京都特別区)の結核罹患率を示した後で、東京都特別区全体の結核罹患率を掲載する場合が再掲にあたります。

3点移動平均

統計上の操作手法です。疫学指標を時間的な動きによってとらえようとするとき、分子、分母にあたるデータが少ない指標値では、時間的な変動が大きい場合が多く、時間的な動きに特徴があってもその特徴を捉えることが難しいことがあります。3点移動平均は、前後の指標値を含めて平均値をとり、それをその時点の指標値に置き換えるので、時間的な変動をある程度押さえる効果があります。長期的な動向をみいだそうとするときに有用です。

新登録患者

1月1日から12月31日までの1年間に新規に結核患者として保健所に登録された人数です。なお、潜在性結核感染症は新登録患者には含めません。

人口動態統計

日本の厚生労働省が毎年行っている統計のことです。出生や死亡、婚姻や離婚などの件数が調査されています。

10万対率

人口10万人あたりの人数です。

診断の遅れ

結核の発症に伴う症状により、初めて医療機関(クリニックも含む)を受診した時点から結核と診断される時点までの期間を指します。最初の医療機関で結核と診断されなくても、その時点から診断の遅れはカウントされます。

接触者

結核を発症し感染させる可能性のある期間、結核発症者と同じ時間と空間を共有した人のことです。一般には結核が診断される前に接触した人のことを指します。

接触者健診

結核患者の接触者で、結核を発症しているか、発症はしていなくとも感染しているかを確認するため、医学的検査を主体とした健康診断を指します(狭義)。接触者からの発病者が実は感染源であったということもあり、接触者健診は感染源調査の役目も担っています。

全結核

肺結核と肺外結核をあわせた全ての結核です。潜在性結核感染症は含みません。

潜在性結核感染症

結核菌に感染していながら未だに臨床的に活動性の病気を起こしていない状態。「既感染」と同じ状態ではあるが、この状態にある者のうち特に発病のリスクの大きい者(感染して間もない者。その他医学的に発病リスクをもった者)には予防的な化学療法が必要とされ、その化学療法の標的として「潜在性結核感染」が特に用いられるようになった。

総合患者分類コード(患者分類コード)

結核の活動性分類を、結核登録者情報システムで用いる登録者分類コードに置き換えたものです。結核登録者情報システムに入力された登録者の情報(治療歴、病類、菌情報等)を基に自動的に分類コード化されます。「結核の統計」は、総合患者分類コードを基に集計されます。登録時の総合患者分類コードは、 1~5,8 の6種類ですが、それ以降、登録途中の総合患者分類コードは1~9 の9種類を使用します。
1. 肺結核活動性喀痰塗抹陽性初回治療
2. 肺結核活動性喀痰塗抹陽性再治療
3. 肺結核活動性その他の結核菌陽性
4. 肺結核活動性菌陰性・その他
5. 肺外結核活動性
6. 不活動性
7. 活動性不明
8. 潜在性結核感染症(治療中)
9. 潜在性結核感染症(観察中)

相対危険度

ある危険要因に暴露(環境要因もあり)された集団の発病や死亡のリスクをと暴露されなかった集団のリスクに比べたもの。一般に比で示します。危険要因の影響の強さを表します。

中央値

中央値は平均値と同じ目的で使う指標値です。平均値(算術平均)は、使用するデータに極端に大きな数字があると、そのデータに影響されて大きな値になり、結果、その集団を代表する値とは言えなくなることがあります。そのような場合には、データを小さい方から並べてちょうど半分にあたる数字を代表値として採用したほうが集団の特徴をよく表します。結核管理図では、治療期間と入院期間に中央値を使っています。

治療区分

結核登録者情報システムにおいて、登録者の区分に用いている項目です。結核の発症の有無と結核の治療歴の有無によって、4つに分類します。
1. 初回治療
2. 再治療
3. 治療歴不明
4. 潜在性結核感染症の治療

登録中の再登録:日本では、治療終了後も一定期間登録を継続し再発を監視してきました。この監視期間中(管理健診期間中)に再発した場合、2007年からは、一旦登録を除外し、新たな発病として登録することになり、この事を登録中の再登録といいます。

登録率

年末現在、結核登録者情報システムに結核管理上登録者として登録されている人(結核の治療中と治療終了後登録の人は含みますが、潜在性結核感染症は含みません)の人口10万対率です。人口は当該年の10月1日現在総人口を用います。

届出率

診断された結核患者が、各国の制度に基づいて国や地方政府に届け出された数を人口10万人あたりの率で表したもの。開発途上国など各国の結核対策の状況によっては結核患者の届け出制度が未整備である場合があり、実際に発生した結核患者数と国や地方政府に届出 された結核患者数との聞に差が生じる場合がある。

年間感染危険率

結核に感染を受けていないものが1年間に新たに感染を受ける割合。(自然)陽転率、ときに感染率と呼ばれるものにほぼ等しい。結核感染の頻度を表す指標であるが、広く結核のまん延状態を、特に国際比較の上などで最も正しく表す有用な指標として用いられている。BCG接種の行われていない集団でのツベルクリン反応検査により既感染率を求め、これから数学的に算出する。まん延状況の判断のためには、ある時点でのこの値とともに、その時間的な推移をみることが重要である。日本では1968年におこなわれた沖縄結核実態調査成績に基づくモデル計算から推定されている。これによると1950年頃には4%だったが、その後年率11%で低下、1980年頃には0.1%程度になったとされる。ただしその後は罹患率の低下が減速したこともあり、それまでのような率で低下しているかは定かでない。世界で最も低いのはオランダであり、1985年ころに0.01%台に下がっている。発展途上国では1~4%のところが多い。

年報(結核登録者調査年報)

結核登録者情報システムの情報を元に、1月1日~12月31日を当該年として、結核登録者の情報をまとめたものです。

年末時

「結核の統計」では結核年報情報から集計表の形で統計を掲載していますが、その集計対象には大きく2種類あります。当該年(1月1日~12月31日)に新規に登録された方と当該年の年末(12月31日)に登録されている人です。年末時とは後者を対象にした統計に使われる用語です。

肺外結核

1996年の国際疾病分類により、肺外結核は「肺あるいは気管支以外の臓器を主要罹患臓器とする結核症および粟粒結核」と規定されているが、その中には、従来日本で便宜的に肺結核に含めてきた結核性胸膜炎(結核性膿胸を含む)、胸腔内リンパ節結核、孤立性気管または気管支結核、結核性喉頭炎なども含まれる。また、肺結核と肺外結核が合併したときには肺結核とするが、粟粒結核は肺病変の有無を問わず肺外結核とする。

培養検査

臨床材料を培地に接種し、適当な環境下においてその中にある微生物を増殖させ、これを検出する検査法である。結核菌(抗酸菌)検査では無菌的に採取できる材料(髄液や胸腹水など)を除き、一般にアルカリ等で混在する他の微生物を殺菌処理した後に、抗酸菌用培地に接種し、37℃前後に保って発育した集落を観察する。塗抹染色法に比べれば検出率が高く生菌を得ることによって同定検査や薬剤感受性試験が可能となり重要な検査法であるが、抗酸菌の発育が遅いので、結果を得るのに長期間を要する(結核菌では4週間以上)。
菌発育状況の表示記号

- 菌集落の発育を認めない
+ 集落数1~200(実数を付記 +20など)
++ 集落数200~500(概数を付記) 大多数の集落は分離、一部融合あり
+++ 集落数500~2,000 集落数が多くほとんど融合
++++ 集落数2,000~ 集落が培地全面を覆っている

発見の遅れ

結核の発症に伴う症状が出現してから結核と診断されるまでの期間を指します。喘息などの呼吸器疾患をもち、結核に伴う症状出現時点を特定することが困難な場合には、診断日より3か月前を症状出現時期として対応する場合もあります。

BCG

カルメット(Calmette)とゲラン(Guerin)によって作られた弱毒化ウシ型抗酸菌で、結核予防ワクチンとして広く世界的に用いられている。1909年乳牛より分離された強毒ウシ型菌を、5%グリセリン加胆汁馬鈴薯培地上で約3週間ごとに継代を続け、13年間230代の継代後、実験動物に接種しても発病させないことが確認され、1921年に人体試験も開始された。1924年に毒力固定宣言がなされた。その後世界各国に分与され、それぞれ継代維持された結果、現在ではなかり性質の異なった亜種が多く存在している。わが国へは1925年志賀により持ち帰られ、現法どおりに維持継代されてきた。1965年172代目の菌が標準株(Tokyo172)と定められ、ワクチン製造用に用いられている。他の亜種に比して副作用が少なく、凍結乾燥後の生存率、耐熱性が優れている。

別掲

一般にその統計が重複することがない場合の説明として用います。(例)北海道の中には、札幌市(政令指定都市)があります。結核対策行政では、政令指定都市は独立しているため、結核の統計も政令指定都市を除く北海道、札幌市の2つに分けて示すことが求められます。

 

有病率

ある時点において、ある人口集団中にいるその病気をもっている人の割合。通常人口10万対率で表す。実態踏査によって真の有病率が得られるが、結核サーベイランス上でも、年末現在において治療を要する患者数(ただし予防投薬対象者を除く)をその年の人口(10月1日現在の総人口)で除して有病率としている。実態調査による有病率は結核のまん延を表す重要な指標であるが、わが国では1973年以降得られていない。サーベイランス上の有病率は疫学指標ではなく、対策上必要な資源を計算する上で重要である。

罹患率

一年間に発病した患者数を人口10万対率で表したもの。実際には発病した者をすべてひろうことは不可能なので、登録された患者の数を人口で割るため、結核の統計では新登録率とも呼ばれ、当該年内に登録された患者(潜在性結核感染症を除く、また当該年内に登録除外になった者を含む)数を10月1日現在の総人口で除したもの。患者の発病時の病状に応じて全結核罹患率、肺結核罹患率、感染性罹患率、塗抹陽性罹患率などに細分することもある。結核のまん延状況の最も基本的な指標であるが、発生した患者数と登録された患者数の差があることが問題である。つまり発生した患者患者のうちどれだけ発見されているか、発見された患者のうちどれだけ登録されているかにより左右される。日本では現行と同じ基準の率は1961年から得られるが、その後の最高値は同年の445.9である。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME